
職業上、最先端の技術はいつでも興味の対象です。MRシリーズのすべてを試しています。
マスター・レコーダーとしてはもちろん、最も高品位なプレイバック・マシンとしてとても重宝しています。
DSDの音自体には、いまだに評価の分かれるところではありますが、これはDSDという技術が、現時点最も進んだ技術であることの証明であるとも言えるでしょう。多くの場合、聴き慣れない音に対する評価は大変難しいのです。デジタル機器が登場した時も同じことが起きていたのは、皆さん記憶に新しいと思います。
だからこそこの新しい音を、ぜひ自分自身で判断し、選択してもらいたいと思っています。そして、まだ評価の分かれる今こそ、そのチャンスなのだと思います。
プロフィール: SRエンジニアからキャリアをスタート。その後レコーディング・エンジニア/プロデューサーとして多数のアーティストを手がける。主な担当アーティストは、ナーヴ・カッツェ、藤原ヒロシ、X JAPAN、L'Arc〜en〜Ciel、dropz、睡蓮など。 リットーミュージックより著書「レコーディング/ミキシングの全知識」を出版。サウンド&レコーディング・マガジン、プロサウンドなど専門誌での執筆も多数。

コルグのDSDレコーダーは、MR-1を発売当初から使っています。毎週のように各地でDJ、LIVEをする身としては、とにかく軽量化された本品は肌身離さずと言ったところです。
そして音。MRシリーズでは、DSDをはじめ、PCMなど様々なオーディオ・フォーマットで録音できますが、やはりDSDでの録音は、今までとは違うものを感じます。他のフォーマットと比べると音の空間性が、今までよりも、より感じられるはずです。
DJ用にアナログからデジタルに変換してCD等に焼くときも、MRシリーズに取り込んでからやっています。CDR等に直接焼いたりするよりは格段に良いですね。AudioGateはソングの分割・結合・フェード処理・音量調整・L/Rバランス調整など、簡単な編集もできて、欲しい箇所をCDに焼いて使えるので、このAudioGateが付いているのもこの製品のいいところだと思います。
自宅スタジオでもMR-1000で5.6MHzのマスターを作っています。今までの、テープやCD等のメディアを使って、ミスをしないように緊張しながら録音していた作業が、とにかく録音状態でひたすらトライし、それを後で良い箇所を編集して使う、と便利になったのはHDの最大のメリットだと思います。
個人的には反対にあるオープンリールのような昔ながらの手法にも、興味が有りますし、うまく最新のものと、古き良きものを混ぜて、今の時代にしか出来ないものを創っていけたらと思っています。

あれは確か、小曽根真さんがプロデュースする近藤和彦(Sax)さんの、同録を頼まれた時のことです。
さて、同録ということでマスター・レコーダーを何にしようかと考えた時に、MR-2000Sの情報を聞きました。
以前MR-1000は外録で使ったことがあって、DSDの滑らかな音色と空気感はとても良いなぁと思っていました。MR-2000Sはそのスタジオ仕様ということで、第一候補となったのです。
録音当日スタジオで楽器の音決めの際、仮録りした各楽器の音をMR-2000Sと違うレコーダーとで聞き比べをしました。結果、各ミュージシャン、プロデューサー、もちろん私も含めて、全員一致でMR-2000Sに軍配を挙げました。
高域の艶やかさ、中域の厚み、ボトムの豊かさがあり、そこに楽器がいるかのようなリアリティな空気感、アンサンブルの中でも音楽が生き生きと表現される感じがとても気に入りました。もうマスト・アイテムですね。

まず、驚いたのは、「すぐ目の前で演奏しているように聴こえる」ということでした。
デジタル録音は、登場した頃、クリアで分離の良い音に驚きましたが、反面印刷された文字で構成された文章を読んでいるような、音楽表現的には遠さがありました。それで、いろいろ工夫して音楽らしくする必要がありました。
しかし、コルグのMRシリーズで、DSD録音された音を聴いた時、クリアで全部の音が良く聴こえるのに、演奏している人たちがそこにいるのが見えるような感じがしたのです。(演奏しているのが自分たちだったので、自分たちの演奏を同時に自分達で見ているような不思議な感じでした)
MR-1からMR-2000Sまで使いましたが、それは、空気のような存在、それがあって初めて音楽が本来の姿で伝わるような存在ではないかと思いました。