加藤和彦氏は2009年10月16日ご逝去されました。
ご冥福を心よりお祈りいたします。
和幸セカンド・アルバム『ひっぴいえんど』 5.6MHzDSDミキシング&マスタリング
5.6MHz=サンプリング周波数が2倍になった
オノ セイゲン
和幸 『ひっぴいえんど』 発売中
品番:COZP-354〜355(初回盤)
CDが12曲+初回限定スペシャルDVD秘蔵映像集(収録時間:約60分!)
品番:COCP-35382(通常盤)
CD、ボーナストラック入り計14曲
加藤さん、お久しぶりでございます…。でもないですね、このところ、加藤さんのソロのリマスタリングでお預かりしているアルバムがいくつかございます。全部、DSDマスタリングで仕上げますので。
このDSDレコーダー、『和幸』のミックスの時点では、プロトタイプが出来上がったばっかりで、まだ製品版は、世の中に出ていなかったんです。このあいだ電話さしあげた時点でもまだ、世界発表になる前だったのでオフレコだったのでモデル名は言えませんでしたが。ミックスが遅れていたおかげで、かろうじて間に合った(笑)。
「MR-2000S」5.6MHz、ふつう2.8MHzのところ、「倍」なんです。
加藤和彦
倍になった。もう売ってるの?
オノ
もちろん。現在は店頭で。
ザ・フォーク・クルセダーズ「戦争と平和」(2003年 2月19日発売/ドリーミュージック MUCD-1060)のときには、スーパーオーディオCDが始まったばかりで、あのときはソニーのSONOMAとTASCAM DS-D98を8台(DSDで16トラック)使用して、それはスーパーオーディオCDと同じ2.8MHzだった。
加藤
いやぁあのことからやっぱり単純に「いい音」と言うか、奥行き感がすごくあるじゃない!DSDって。
オノ
そうです。空間が。DSDの一番の特徴は空間情報。初期反射と空間が見えること。
加藤
不思議に、で、それが「MR-2000S」を使うと自然な音になったっていうか、生の音だよね。そういう意味では。これねえ、何でみんな使わないのか判んないんだけど(笑)。
オノ
まだ登場したばかりで、レコーディング現場で使った人は加藤さんが一番でしょう。ここからは、みんなで使いましょうよ。6年前も、DSDって世の中に製品として登場したばかりで、まあみなさんProToolsで扱えないフォーマットというだけで試したことないエンジニアが多いのも事実で。
加藤
知らないでしょ。
オノ
初めてDSDを使用して、もっとも印象的だったのは、まず、楽器の個体差やその日の鳴り方の違いが全部わかる。弦の種類も全部わかるし。
加藤
ステレオって左右じゃない。前後もあるけど。DSDでは、前後もちゃんと判る。不思議なあの空間というか、音像とか、定位とかね。今回の『和幸』は歌ものなんて、コーラスも重ねてるんだけど、それもよく判っちゃう。いい意味でね。そういう解像度が、すごいよね
オノ
ハイレゾリューション。PCMの96KHz24bit程度とのはっきりした違いはそこです。初期反射までキチンと捉えられるから空間が見える。DSDの5.6MHzでは、192の倍、384以上ですね。
加藤
ただ単に解像度がいいだけだったら、それほど音楽的ではないんだけど。これ音楽的な深さっていうか、なんかそういう音になるんだよね。
オノ
それはぼくも感じました。まったくフラットというより、少しだけ高域が広くなったように聞こえてるのかなぁ。「MR-2000S」は本当によくがんばって作ってくれました。意図的に狙ったのか、正直に作ったらこうなったのか、その、いい意味で音楽的な傾向のようなのがあります。
加藤
音楽的になる。僕らはまだ「和幸」しかやってないけど、これたぶんクラシックとかすごいだろうね。全楽器の定位とか全部わかるんじゃないかな。まぁ、クラシックの演目にもよるけど、普通はイングリッシュホルンと、オーボエで重ねてるのなんか、絶対、判んないよ。
オノ
特にCDだとね。2チャンネルで16ビットPCMって限界がはっきりしてる。
加藤
指揮者の耳だと判るかもしれないけど、それがちゃんと誰にでも判るぐらいに録れるんじゃないかな。たぶん。
オノ
誰にでも判りやすいって大切ですよね。時間軸が倍になるってことは、マイクのちょっとした距離や、かぶりによる音色の違いが鮮明になります。聴覚の訓練や無理しなくても誰でも判る。
加藤
マイクがまずあって、EQやらなんやらあるにしたってProToolsにしてもレコーダーにしろ、そこからまた再現されて出てくるわけだ。相当いろんなものが入ってる。これはいきなりマイク一本いれて、そこから聞いてる感じするよね。間のプロセスがいなくなっちゃってるっていう。直に録音したらすごいよね。