KORG Legacy Collection - DIGITAL EDITION



KORG Legacy Collectionはハードウェア時代からお気に入りだったMS-20やPolysixがソフトウェア音源化されたとあって、大変喜ばしく、愛用しています。その後このDIGITAL EDITIONにおけるM1のサウンド・プログラムの制作に参加させていただく事になり、大変光栄に思っています。M1はプロのミュージシャンになって初めて「音楽で稼いで購入したシンセ」という点で私にとってとても思い入れの深いもので、大切に使用してきました。これをソフトウェアで再び使用出来るのは嬉しい限りです。

M1ソフトウェア版を操作した最初の印象。なんといってもまずはプリセット1のUniverseの音を聴いた瞬間「これだ?っ!」、ハードウェアをお使いだった方のほとんどが、そう思われることでしょう。そして80年代の数々の名曲に使用されたあの独特のオルガン・サウンド、ピアノ・サウンドも見事に再現されています。優れた楽器が「それっぽい音」「いかにもその楽器という音」を必ず持っているものです。「M1っぽい音」も明らかに存在し、他の楽器では決して再現出来ません。それらのサウンドを再び手にすることが出来るのは実に幸せなことなのです。また新しいパラメータが追加されたことでさらに新しいサウンドも作る事が出来るようになりました。

では私が制作した音色についていくつか解説してみましょう。まずコンビネーションのKLCバンクから「3 S&H Pad」。これは新たに追加されたLFOのS&H波形を利用して軽くフィルターに変化を与えながらも曲の中で使える様なパッド・サウンドです。「25 BleepChord56」は最も嬉しい新パラメータであるフィルターのレゾナンスを効かせたシンセ・サウンドです。PCM音源はオシレータの波形で音の特徴が決まる音源ですが、こうやってレゾナンスやフィルターが充実していれば、PCMといえどもオシレータにSAWなどのシンプルな波形を使ってアナログ・シンセ的に音作りを行うことも可能になります。そういったサウンドと典型と言えるでしょう。これをコード風に3音重ね、ハウス系で使いやすいサウンドにしてみました。 「40 Sequence )(」、「43 Choriana_Up」はいずれも音楽的なフレーズになっているコンビネーションです。昨今の音源はアルペジエータなどが搭載されて鍵盤を押せばフレーズ、音楽がそのまま出てくるようなプリセットが多数ありますが、それを逆に80年代PCMシンセに持ち込んでみたというもの。アルペジエータもシーケンス機能もありませんので、オシレータ2にある「Delay Start」(発音するタイミングを鍵盤トリガーから遅らせる機能)を利用して、次々にオシレータが鳴るように設定しています。当然作り替えるのも難しいですし、そのまま使うのもどうか?と思いますが、「こんな事も出来る」「シーケンス機能がなくてもフレーズ的な音色が作れる」というサンプルと思っていただければと思います。 プログラムの方では「68 Wine Pad」、サイン波が2つあればどんなシンセでも簡単に出来るプリセットですがその音源がいかに「澄んだ」サウンドを出すか?をチェックするのにはうってつけのサウンドです。「81 Digi Organ」はコルグのデジタル波形DWGSからエレピなどのオシレータを選択し、デジタルらしいきらびやかなオルガン・サウンドにしています。


全体としてはデジタル、PCM波形ならではのサウンドももちろんですが、他にもアナログ・シンセっぽいブラス、ストリングス、新規ドラムなどのサウンドも多数収録されています。GM音源などその後のPCMシンセの元祖にもなったようなオシレータ部分と、アナログ・シンセ・クラスの充実したフィルターをはじめとするパラメータ群を同時に持ち合わせた21世紀の「M1」を是非ソフトウェアで堪能してみてください。



 
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