SOUNDBYTES : 9dw

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9dw インタビュー

1997年の活動開始以来、多数の国内外アーティストとの共演、音源リリース、海外ツアーを行い、現在はオリジナル・メンバーのサイトウケンスケを中心にサポート・メンバーを交えた活動を行なっている9dw(ナイン・デイズ・ワンダー)。2009年3月にテキサス州オースティンで開催された“SXSW”への出演を契機にワールドワイド・リリースされたアルバム『Self-Titled』で聴けるそれは、サイトウケンスケによる卓越したギター・プレイと、大胆に使用されたシンセサイザーという、生演奏とエレクトロニクスが融合したまさしくクロスオーバー・ミュージックだった。また、フュージョンや70〜80年代ポップスからクラブ・ミュージックへアプローチするという手法も彼独自のユニークなポイントとして見逃せない。そんな9dwも新旧のコルグ製品のヘビー・ユーザーのひとり。今回はサイトウケンスケ氏と、エンジニア兼サポート・メンバーとして主にシンセサイザーを担当する林田涼太氏に、シンセサイザーへのこだわりなどを中心にお話しを伺った。



音楽を始められたキッカケは?

サイトウ : 80年代の中頃、だいたい13歳ぐらいの頃から「楽器を始めたいなぁ」と思い始めて。テレビだと「ベストヒットUSA」なんかが流行っていた時代ですね。実際そういう番組を見てギターを始めたいなっていうのが、そもそも楽器を始めたキッカケです。それにうちはわりと音楽好きの家族だったんで、70年代から色んな音楽を聴いて育ちました。

70年の音楽を、ということですが、どういうものを?

サイトウ : 両親が聴いていたような、それこそビートルズとか、他ではアメリカのポップスだったり、ジャズとかでしたね。家では割とといつもレコードがかかっていましたから。

アルバム『Self-Titled』のサウンドは、70年代のクロスオーバーやフュージョンのテイストと、クラブ・ミュージック的要素が絶妙なバランスで融合した、とてもユニークなものですが、このサウンドに至った背景は?

サイトウ : そうですね…最初に音楽を始めたキッカケとも関係するんですが、18歳ぐらいの頃にバンドをやりたいなと思って…それから90年代、2000年と経て、その間もずっと音楽を聴き続け、常に吸収してきましたので、そういうものが細かく自分の中に残っていて。それらが全て外側に出てきたんだと思います。『Self-Titled』の以前にもアルバムは2枚出していましたが(*1)、ソロ活動になってから、自分のルーツのようなところに立ち返りたいっていうのがあって、それで70年代や80年代の音楽の影響っていうのをまず出してみたいと思ったんですよ。

ただ、デモをどんどん作っていく中で、70〜80年代と現在の間にあった音楽も吸収していましたから、結果的には全部ブレンドされた感じになったと思います。自分が音楽を始めたいと思った原点をまず意識して、そこから新しい音楽を作ってみよう、というのをコンセプトとして据えていました。

それと、当時サポートしてくれていたドラマーが、ダンス・ミュージックの現場を熟知している人で、音楽的にダンス・ミュージックとして機能する部分っていうのは、その人の影響があると思いますね。

あとは…レコーディングでは、打ち込みで作ったデモを全て手弾き演奏に差し替えて、その上にシンセをかぶせていったんですが、それによってまだ音楽的に新しいものができるんじゃないか、という可能性を感じながら作っていました。結果、それはすごく良い方向に進んだと思っています。





(*1)『The Scenery is in Disguise There』「と『with EUPHORIA』の2枚。

今聴いても新鮮な組み合わせですよね。『Self-Titled』の6曲目「farside」などはDJにもよく使われているんじゃないでしょうか?ガチガチの打ち込みだとか、ストレートなジャズだとかじゃないサウンドが欲しいシーンなら、これをかけるのがピッタリかと。

サイトウ : それはあるかも知れませんね。確かにフュージョンも源流はジャズですから…。まぁでも、アカデミックな方向はあまり目指していなくて、それよりもヒップホップとかダンス・ミュージックのテイストのほうが好きですね。9dwはいわゆるクラブ・ジャズとも違いますし。でも、結果的に『Self-Titled』を出してみたらクラブ・ジャズの人に声をかけてもらったり、ハウスの人にも声をかけてもらったりして、そういう意味では面白い立ち位置にいけたかなと思います。林田さんもレコーディングに関わってくれた時に、「ジャズとかフュージョンを中心に、さらにエレクトロニックをまぶしてフレッシュさを出していこう」って言ってもらって。それで林田さんにも一緒にやってもらう方向になりました。

あと、ストレートなジャズの方向にいかないもうひとつの理由は、自分の中でのポップス的側面を大事にしたい、ということがあるかも知れません。昔の歌モノなんかも、バックの人はみんなスタジオ・ミュージシャンだし、そういう人たちがバンドを組んだりすることで、それがフュージョンと呼ばれていたわけですから、そういう意味で納得できるポイントっていうのが結構あるんですよね。「分かりやすさ」と言い切ってしまうとちょっと違いますが、でもポップス的側面は個人的にポイントになっているのかなと思いますね。

ポップスが良質だった頃の…。

サイトウ : そうですね。あの頃のあの感じがすごく好きですね。

9dwサウンドのひとつの中核と言えるものにシンセサイザー・サウンドがあると思いますが、シンセサイザーについてお二方のこだわりのポイントなどを教えてください。

サイトウ : ステージでは毎回少しずつ使用機材を変えて、色んなシンセを使っています。MIDI主体でやっていた時は、林田さんも2台使って計4台でステージをやっていたりもしましたね。シンセに関して面白かったのは、シンセを9dwに取り入れようとしていた頃、ネットなどでシンセの情報を得ようと、林田さんが運営している「proun.net」っていうサイトをずっと見ながら勉強していたんです。それで、そのサイトを林田さんが運営しているということを知らずに「今度シンセを取り入れたいんですよね」って相談しながらこのサイトを見せたら「これ僕です」って(笑)。そこから完全に勝手に弟子入りしているような感じですね(笑)。

林田 : 9/10のイベント「Synthesizer」で共演します松武秀樹さんが、以前PSE法で活動されていた時に、国に提出するビンテージ・シンセのリストを作るのに、僕のサイトを参考にしてくれたらしくて。それで「お世話になりました」と言って下さったことがありまして、そんなすごい人がご覧になっていたら、うかつなこと書けないなぁと思いました(笑)。

あのサイトが登場したのはすごく早かったですよね。

林田 : あれは日本でいちばん早かったと思いますね。1993年の暮れか1994年の頭ですね。ほとんどの人たちが「インターネットって何?」って言ってた頃ですよ。シンセに関するサイトなんて、当時は海外に1つか2つあったぐらいで、日本語のサイトはありませんでしたから、「これはやってみよう」と。当初は海外から「英語でも書いてくれ」ってリクエストがよくありました。つまりシンセサイザーのサイト自体が珍しかったんですよ。それに今も、まだ紹介しきれていない、紹介したいシンセも一杯あるんですが、なかなか時間が取れなくて…。って、何の話しでしたっけ?(笑)

シンセのこだわりポイントですね(笑)

林田 : 9dwでは最近アナログばっかりですね。

アナログにこだわっているということでしょうか?

林田 : アナログに対するこだわりはむしろ、サイトウさんのほうがあるんじゃないですか?どうですか?

サイトウ : デモの段階ではソフト・シンセで作ることが多いんですけど、アナログだとシンセをいじって作った音って、ほとんどメモリーできないじゃないですか。でももし気に入った音色ができて、その後も使いたくなったのなら、今ならサンプリングもありますし。どんどんやれる方法を見出していけば、もうそれでいいんじゃないかって思うようになったんですね。それこそ一期一会じゃないですけど、その時作った音でレコーディングする…それで「完結」というか、次に行ける。ソフト・シンセもそうですけど、プリセットとかの数が多すぎて、ただ単にクリックしているだけの時間のほうが長かったりしますから、それよりは音楽にいきたい、音をいじりたいっていうのがありまして。その点でアナログ・シンセの方が僕には合っていると思っています。アルバム(『Self-Titled』)の頃は、ソフト・シンセをいじっていることの方が多かったんですけど、今はもう完全にMIDIでやるか、手弾きで音を作ってすぐ録っちゃうことが多いですね。あと、アナログとソフト・シンセを混ぜる場合もあります。

林田 : 現行製品の方が動作も圧倒的に安定していますし、ノイズも少なくて、本当は便利なんですよね(笑)。それに音も良いし。それは分かっているんですけど、逆にアナログ・シンセの音を聴いたことがない人も実は多いんですよ。特に今の若い人のなかには、聴いたことがないどころか知らない人も多い。だからこそ逆に新鮮なんじゃないかな、と思うんです。

サイトウ : 曲によっては、アナログだけだと古臭さが残ってしまってどうにもならない場合に、ソフト・シンセの音を混ぜたりもしますね。それでバランス取ってその都度その都度で見極めていますね。

林田 : たぶんライブを見ているお客さんは、アナログとかデジタルとか、ステージ上のどのシンセを使っているかということは、あまり意識してないと思います。ただそこから出てくる音が、普段聴き慣れているシンセの感じとは「何かちょっと違うな」というイメージは持ってくれているんじゃないかな。そこを楽しんでもらえたらすごく嬉しいですよね。

サイトウ : MIDIでコントロールしてると「何で演奏できるのにしないの?」って言われるんですよ(笑)。「何をいじってるんですか?」って。まぁそういうこともありますね(笑)。

林田 : 手弾きでシンセ弾いているバンドは結構いると思うんですけど、MIDIで打ち込んだものを現場で鳴らしているバンドって、あんまり見たことないんですよ。逆に、演奏の面白さじゃなくて音の面白さでもうちょっと見せていけたほうが、逆に面白いんじゃないかな。他にそういうことをやっている人もいないし。で、コントロールすることに意識を集中させて、フレーズに合わせて音が変わっていく…そんな感じなんですよ、いつもライブは。

サイトウ : そうですね、リアルタイムで動かして。

ライブではずっとツマミを動かしていますよね。

林田 : ずーーっと動かしてますよ(笑)。それで「ウィーン!」って音を変化させるとお客さんが「おおー!」って(笑)。すごく単純で分かりやすいんですけど、やっているほうもそういうところが楽しかったりしますよ。






 
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