ドリームマシーン
ギター・ヒーローに、キーボード・ヒーロー。ジョーダン・ルーデスはもちろん後者に属するが、それだけではない。あのプログレッシブ・ロック・バンド、ドリーム・シアターでの焼けつくようなプレイがない時は、ソロ・プロジェクトやピアノ曲の作曲、そして音楽アプリの開発に勤しんでいる。つまり、音楽や音そのものを休むことなく探求しているのだ。彼の高度な作曲能力、そして演奏スキルは、最新テクノロジーを巧みに操るテクニックとともに、既に現代のアイコンと化している彼のキーボード界における地平をさらに広げている。また、長年に渡るコルグ・ファミリーのメンバーとして、ジョーダンは様々な製品への貴重なフィードバックを出してくれているだけでなく、コルグ製品のサウンド開発にも惜しみない協力をしている。例えば、KRONOSもそのひとつだ。
コルグ取材班は、ドリーム・シアターの新作『A Dramatic Turn of Events』をひっさげたヨーロッパ・ツアーを目前に控えたジョーダンへのインタビューを敢行した。
ツアー、そして最新作『A Dramatic Turn of Events』が大好評です。今作の制作に当たって何かゴールや決めごとなどはありましたか?
ドリーム・シアターとして素晴らしいアルバムを作りたいってことは、いつもと同じくメンバー全員の意思だったね。それと、今作の制作はマイク・ポートノイを欠いた状態で行うことが最初から分かっていたんだ。そういう厳しい状況下に置かれていたんだけど、僕らのエネルギーをアルバム完成に向けてポジティブなものとして注ぎ込んだんだ。そんなこともあって今回は、僕らが人として、ミュージシャンとしてどういう人物なのか、そしてドリーム・シアターのサウンドはどうあるべきなのかということを改めて考える良い機会だったと思うよ。でもとにかく大変な1年だった!
マイク・マンジーニがポートノイの後継ドラマーとしてバンドに加入しました。ドラマー交代はバンドにとって初めてのことでしたが、新メンバーを迎えてのレコーディングはどうでしたか?
マイクは本当に非の打ち所がないプロフェッショナルだね。すぐにバンドの音に馴染んだだけでなく、ものすごくパワフルなドラミングだし、何と言ってもユーモアのセンスがあるところも最高なんだ。アルバムの制作を開始してすぐに、僕らは彼のパーソナリティにすっかり惚れ込んだのはもちろんのこと、ミュージシャンシップにも感動したね。バンドの音がどんな方向に変化しても、常にピッタリとフィットしているのには本当に驚いたよ!
ツアーで印象に残ったことでエピソードなどを。
そうだなぁ…。ツアーの最終日がメキシコシティだったんだけど、盛り上がったよ。1万人も集まって、ソールドアウトだったんだ。演奏を開始して20分ぐらいのところだったと思うけど、僕の特製油圧式キーボード・スタンドを、観客から鍵盤が見えるように角度を変えて演奏したんだ。オーディエンスもそれでかなり盛り上がったね。でも、そこで「事件」が起きちゃったんだ…。スタンドがその状態から元に戻らなくなっちゃったんだよ!しょうがないからステージの残り時間(1時間40分ほど)を、ずっとその状態のままで演奏するしかなかったんだ。曲中の各セクションを本当に祈るような思いで演奏したね。それでも何とか乗り切ることができて良かったよ。実際、かなり困った反面、観客は僕がどんなふうに演奏しているかをずっと見ることができたから楽しかったかもね。この日は開演前に地震があったから、それとセットで今でも強烈に覚えているよ!
うわぁ、ショー的には最高でもジョーダンとしてはヒヤヒヤだったんですね。バンド以外でソロとかその他でのトピックスは?
今のところではアプリ開発に集中しているんだ。僕の会社Wizdom Musicさ。ここでiOSとAndroid対応の最高にクールなアプリを開発している。コルグもiOSアプリですごいのを出してるよね。僕も使ってるけどすごく楽しいよね!それとは別に、「Explorations for Keyboard and Orchestra(キーボードとオーケストラのための探求)」という題名のクラシック曲を作曲したんだ。今はこの曲で共演するオーケストラを探しているところなんだ。
ジョーダンは長年コルグのワークステーションを使っていて、KRONOSはステージでのメイン・キーボードですよね。気に入っている機能や、他のワークステーションとはここが違うといったポイントがあったら教えて頂けますか?
KRONOSは僕にとって、まさにトータル・ミュージック・ソリューションだね!心底気に入っているよ。色んなタイプの音源が1台に集約されているから、必要なサウンドが必ず見つかるよね。PCMからモデリングまですべてあるし、それに、パワフルなエフェクトがあるおかげで思った通りのサウンドに仕上げることもできるし。それと、ここは強調したいところなんだけど、KRONOSだと演奏中に僕の重厚にレイヤーしてあるサウンドを切り替えても完璧にスムーズに切り替わるんだよ!キーボーディストとしてこんなに嬉しいことはないね!
KRONOSサウンドをキッカケに作った曲はありますか?
もちろんあるよ!ファクトリー・サウンドの素晴らしさは、コルグ・キーボードの最大の特長のひとつだよね。コルグ製品のサウンドは、いつもインスピレーションを引き出してくれるし、それがそのまま最高な曲に発展していくことがあるんだよ。
一方でmicroPIANOやnanoシリーズ2も使ってますが、それらについては?
コルグは、いつも何か新しいものを出してくるから、うかうかしていると本当に時間がなくなっちゃうんだよ!僕はmicroPIANOをいつも傍らに置いて、インスピレーションが湧いた瞬間を逃さないようにしているんだ。microPIANOは本当にクールなキーボードだね。存在自体がユニークだし、それにピアノ・サウンドが何とも印象的だよね!nanoKEY2は、旅に出る時は必ずスーツケースに忍ばせているんだ。ホントなんだよ。この間のツアーでは、ジョン・ペトルーシとアンディ・マッキーとホテルの部屋でセッションをしたんだけど、それは本当に凄かったよ。ジョンもアンディも僕の超小型セットにビックリしてたよ。nanoKEY2とiPadは僕のキラー・システムさ!
他に最近の話題は?
アプリ関係ではiOS版のMorphWiz、SampleWiz、Geo Synthesizerが最新作だね。ドリーム・シアターでは1月下旬から5週間のヨーロッパ・ツアーに出るよ。ヨーロッパのファンに会えるのを楽しみにしているよ!コルグとは、もうかれこれ20年以上の付き合いになるんだ。最初は純粋なコルグ・ファンとして、次はコルグ社員としてプロダクト・スペシャリストとしての活動、そして今はプロ・ミュージシャンとして。この長い関係は僕も誇りとしているよ。コルグには音楽面でも本当に素晴らしい人材が揃っていて、あらゆる製品づくりでより高い品質をキープし続けているよね。コルグの素晴らしさは、実は社員ひとりひとりの素晴らしさなんだよ!KRONOSはテクノロジーの部分と音楽的な部分が見事に融合したパワフルなワークステーションだよね。気になる部分と言えば本当に1つか2つぐらいしか見当たらないからね。でもKRONOSは僕の音楽に必要なものを引き出してくれるから、本当に信頼しているよ。それにKRONOSユーザーのひとりであることを誇りに思っているし、KRONOSの素晴らしさが世界中のミュージシャンに広まるために、できることは何でも協力したいと思っているんだ。
ジョーダン、インタビューに応えてくれてありがとう。ツアーの成功を!