まずはじめに、初めて買ったCDはなんですか?
Olive Oil(以下O):あー、『愛は勝つ』。カンの。それ買って親父に「そんな子供だましに騙されてんじゃねぇぞ!」って言われました(一同爆笑)。そのあとボアダムズのブっとんだ『Chocolate Synthesizer』。中三くらいだったかなぁ。
その経歴、すごいですね…。音楽を始めたときは、いきなりDJをやっていたんですか?それとも…
O:ノーエフエックスとかのメロコアのコピー・バンドでボーカルをやっていました。高1のとき。ランシドとかでガッツリ歌ってましたね。楽器できないから、まぁ歌え、みたいな。
DJを始めるきっかけはなんだったのですか?
O:楽器できないから、DJやってればもてるかな、みたいな感じで始めましたね。バック・ドロップ・ボムとランDMC、それからビースティ・ボーイズに行って、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかミクスチャーに行きましたね。地元にスケボー仲間がいて、そういう音楽のイベントをしてて。スケーターってパンクを聴いている人もいれば、ヒップホップを聞いている人もいますよね。そこでちょうど中間のミクスチャーにすごくはまっていきました。それでDJを始めました。
制作を始めたときはどういう音楽性だったのですか?
O:曲づくりを始めたきっかけはエイフェックス・ツインを聞いて、やられたことが大きいんですよね。思いっきりドラム打ち込んで、あーいうピヨピヨした音をいれていくっていう。その直前でジャングルとかの高速ビートにすごくハマっていて。エイフェックス・ツイン聴いた瞬間にこりゃ違うわ!と思うと同時にこれは作れる、と思って真似から始めましたね。けど年をとるにつれてどんどんBPMが落ちていって(笑)そのころの曲は今でもMDやテープで持っていますね。やたらキラキラしつつ、キックとスネアだけゴツくて。その時期にはすでにDJで高速ビートをかけてたけど、その曲に半拍のヒップホップを重ねたりしていました。エイフェックス・ツインとサイプレス・ヒルとか。
ドラムの打ち込みの話なんですが、PANの振り方や変拍子的な要素やツイン・ドラム的な打ち込みを含めて、すごくユニークなフレーズを制作されていますよね。
O:俺の曲には大体メインの一番好きなトリック(フレーズ)があって、それがかっこいいって成り立つまでの細かいジャブ的なフレーズをいれていくんです。なんでそのトリックが曲の最初にくるときもあるし、途中にきたり、最後にくるときもあります。それにピンポイントで合わせるように曲を構成していくんです。最初はただのループなんですけど、これだ!って分かった瞬間にそのまわりから構成していって、あまり同じトリックは使わないようにする。コンビネーションですね。トリックのコンビネーション。アーネスト・ホースト・スタイル(*1)(笑)
*1:言わずと知れたK-1グランプリ4タイム・チャンピオン。高い技術から完璧なコンビネーションを繰り出すことから、ミスター・パーフェクトと呼ばれる。
「トリック」という表現は、DJ的な感覚からくるものなのですか?
O:そうですね。2枚使いでも絶対不可能だ!って思われるようなジャグリングのようなフレーズを制作で打ち込んで再構築するか、もしくは生のジャズ・バンドとかでも不可能だ、と思われるようなフレーズ、そういうところを目指していますね。
Olive Oilの曲を聴くとき、みんなはめられますよね。
Popy Oil(以下P): 一瞬呼吸が止まっちゃう、みたいな「間」があるようにしてますね。DJ DOGG(Mic Jack Production)も言ってたんですけどOliveはみんなが無意識に感じている『せーの、はい』みたいなタイミングにはめるのがうまい。
そのタイミングの作り方がある意味ポップなんだと思います。
O:そのあたりはスクエアプッシャーに学んだところが大きいですね。彼の曲の中では、決めフレーズになる直前に、リスナーが間違いなく盛り上がっていて、グゥーッ、となっていって一段階上の決めフレーズになると更にぶっ飛ぶ、っていう。そのときはもうみんなもう痙攣しちゃうくらいの盛り上がりかたをしてるっていう。ワン・フレーズで、ウワァーッ!ていうよりも、ウワァーッ!てなっているところに…ドンッ!!ってさらに上に持って行ってグワァーッッ!!という感じを狙っています。
ライブまたはDJプレイという話で、KAOSS PAD KP3をお使いですよね。この前のライブ時はKP3のサンプラー機能をよく使っていましたね。
O:結局全部自分の曲でライブしているから、BPMも全部把握してて。1小節だけKP3を使ってフレーズを抜いて、そのサンプル、例えばBPM80の曲のBPMを少しずつ上げるんです。DJ MIX中にターンテーブルで84.5とかにしちゃうと音がエグく変わるので嫌なんです。だけどKP3でサンプリングをしてからその再生速度を上げると、うまくやれば流れもいいし、その後確実に次の曲にシフトすることができます。つまり良い感じの足し音になるんですよね。
最近KP3でジャズの曲を1小節だけループ・サンプリングして、その良い感じのフレーズの上にさらにトリックをかましていってその音をまたサンプリングして、そこに倍速のジャングルのビートをいれてみたりして曲のアイデアにしています。
全体的に見て、KP3はいかがですか?
O:いや、もう最高ですね。最近はもう曲作りでも使っています。家でジャズとか一日中聴いてて、ある瞬間良いフレーズがあったらそれをKP3でサンプリングしてます。
P:そこから1日ずっと聴いているんですよ(笑)
それはサンプルの査定期間なんですか?
O:そうです。飽きないループ、「ゴールデン・ループ」って呼んでいるんですけど。へたすれば3日くらい流しっぱなしな時もあります。そんなときに友達がきてそのループにターンテーブルでビート足したり、スクラッチするやつが来てアカペラをこすってみたり。でもそのオリジナルのサンプルを消すんじゃねーぞ!とは言っています(笑)遊ぶのは良いんだけど、キープしとかなきゃいけないから。
KP3は24bitでの処理になって、音が元の音源よりもクリアになっているように感じるんですよね。いい感じに録れてて。この前長野での演奏でミキサーのマスター・アウトからダイレクトでつないでいたんです。そしたらASAさん(Jar-Beat Record)がきて、「音がすごくいいね。これセンド/リターンでつないでいるの?」ってきかれて、「いや、ダイレクトですけど。」って。そしたら「あぁ、KENSEI君(DJ KENSEI)もこんな感じだったなぁ。音が良いって言ってダイレクトでつないでいた。」って。センド/リターンでしか使ったことがない人は試してみるべきですね。はっきりいって、超便利ですよ。サンプラー機能よくなりましたよね。しかもCompの2番(“Low Compressor”)が、ネタによってはむちゃくちゃ良い効果がでるんですよ。細いジャズのドラムにかけると、高音域がフィルターかかって低音域がしっかりしたドラムになるんですよね。
他のエフェクトはいかがですか?
O:他にはディレイの14番(“Tape Echo”)も好きだなぁ。ルーパーの1番(“Looper Forward/Reverse”)、グレイン・シフターの2番(“Mid Grain Shifter”)、3番(“Mid Grain Shifter+”)も好きですね。リアル・タイムにテンションを上げるのに良いです。
あと”Fx Release”機能。フィルター系のエフェクトに使う場合が多いんですけど、あれでフィルターかけた後にそのエフェクトの残響を残して、そのまま倍速とかの曲を流してって感じに持っていきます。結構キメのパターンです。この機能はかなり大きいですね。
今後はどういった機材セッティングでやりたいですか?
O:シンプルなターンテーブルとミキサーで自分の音源オンリーでジャグリングして、15分〜20分プレイするってスタイルなんですけど。今はCDに焼いてジャグリング+KAOSS PADていう感じですね。ここ2年間くらいそのセッティングです。今年買ったのはPopyがコルグのVJ機器kaptivatorで俺がKP3。あー、そう。padKONTROLも買ったんですよ。今勉強中です。
お二人で演奏していて、Oliveさん、Popyさんがどちらも音と映像を演奏して、どちらがやっているかわからない、といった様な事を目指している、とお聞きしましたがOilworksとしては2人で色を出していくことを目指す感じですか?
O:今仲間がどんどん増えてるんです。MCは今3人と組んでて、それぞれがスペシャリストで独特の色を持ってて。そういった仲間全体でOilworks、っていうところを目指しています。レーベルとして大きくなっていきたいです。九州で月一回やっているダダイズムってイベントがあるんですけど、1/3くらいのお客さんが県外からきていて、京都、長野、四国とかからきてくれるんです。グラフィティをやる人とかもきてくれて。停滞している訳じゃなく。お客さんがどんどん増えてる。固定のお客さんは30人くらいで、あとは毎回どんどん違うお客さんの目に触れることができてる。今福岡で良い感じのサイクルができてきていますね。
最後にコルグの機材について一言いただけますか?
O:そうですね…ブットビ系(笑)。音とか(製品の)色とか。遊び心がありますよね。製品について言うことはないです。このままガッツリ突き進んで欲しいです。