現在の主なプロジェクト、ご自分の制作環境での使用楽器を教えてください。
レコーディングにおいては、もう様々な楽器やら音源を使用します。言ったらきりがない。(笑)うちのスタジオ(azurite Lab)にある楽器の中で、コルグ製品をあげるのでしたら、CX-3、2000年に復刻した CX-3、R3、KP3、Mono/Poly、T2ex、です。CX-3とNew CX-3は、ライブでもガンガンに使いまくってます。本当に素晴らしいオルガンだと思います。KP-3は、今回新たに購入しました。KAOSS PADは以前から欲しくて欲しくて。ようやく手に入れることが出来ました。そして今いちばん気に入って使っているのが、R3です。いわゆるデジタル・シミュレート・アナログ・シンセですが、他社の同じような製品と比較をしても、サウンドが何とも新しい質感だなと感じます。4VCOのシンセ、Mono/Polyは、昔からオシレータがバラバラになってくれるところ(往年の名機といわれるアナログ・シンセの8voice的な発想)が気に入っていて、この方法でチューニングを微妙にずらしDAWに何度もダビングしてパッドを作ったり……。手間はかかるけど、かけた分のサウンドが作れるので大好きです。T2exミュージック・ワークステーションは今は音源としては使っていなくて、最も気に入ったベロシティ・センスを持つマスター・キーボードとして活躍してもらってます。
Sun Pauloのライブで、R3を使い始めまして。もうサウンド・キャラからして大活躍しまくってます。スガシカオのライブでは、CX-3が大活躍してました。これをレスリー・スピーカーに繋いで使ってましたね。
アナログ・シンセをたくさん所有していらっしゃいますが、森さんとアナログ・シンセの出会いは?森さんにとってのアナログ・シンセとは?
最初にシンセサイザーのサウンドに出会ったのは、僕が小学生の頃で、当時習っていたピアノの先生が聞かせてくれた冨田勲さんの「月の光」(ドビュッシー)です。それから当時リリースされていた「冨田勲の世界」というレコード(まるで冨田氏の教則レコードのような)を買って、シンセの構造やら音作りの方法論を学びました。
それについていたブックレットやレコードは今でもバイブルだったりします。そうのこうのしてると、習っていた電子オルガンのコンクールのために、オール・アナログ・ポリフォニック・シンセ構造による電子オルガンを弾くようになりまして….。それで完全にアナログ・シンセのサウンド・メイクができるようになっちゃいました。中学生になって、仲間達とバンドをやり始めた頃、初めてシンセを購入し、当時はサンタナなんかのコピー・バンドをやってました。
出会いが完全にアナログ・シンセだったせいか、僕は今でもアナログ・シンセが大好きです。
もちろん世の中がデジタル化してきた変遷をリアルタイムで体験してますので、デジタルのいい悪い、アナログのいい悪いも熟知してるつもりです。そんな中、自分の頭の中で鳴っているサウンドを即具現化できるのは、やっぱアナログ・シンセなのかなぁなんて最近思い始めてます。たとえオシレータがPCMであれなんであれ、その後の構造がアナログチックだと、手が伸びやすいというのがありますね。それは僕のような世代の鍵盤弾きはみんなそうなんじゃないでしょうか?
パッドの音色ひとつにしても、アナログ・シンセを何度も重ねたその説得力は、明らかに違いますよね。例えば、スティーヴィー・ワンダーがかつての名曲でアナログ・シンセを何度もダビングして作ったサウンドって、なぜかグッときますよね。そういうことなんですよ、アナログの魅力って。22世紀になっても残っていかないといけない価値観だと思ってます。
R3を最初にさわったときのインプレッションは?
ぶっちゃけ、こんなおもちゃのようなルックスのシンセから出てくる音とは思えなかったです。(笑)もう少しチープな音を連想していたのですが(それはそれで大好きで、大切にしたいんですが)、全然ちゃんとした「良い音」を持っていて、しかも考えられないような音作りのバリエーションを持つ高性能機なんだという印象でした。
R3で気に入った音や機能は?
ループものの素材をその場でBPMをコントロールしてトラックに合わせ、その場でどんどんモジュレートしていけるような音がたくさん入ってますね。これは僕のようなやつにはほんと便利だし、ここからインスパイアーされてトラック・メイクしたりリミックスを作ったり、いろんなことに直結していきます。あと、リード音系の音色をエディットしたものをシーケンスさせたり、ポリフォニックな音色も大変重宝します。リアルタイムで触りたいパラメータを右側のノブのところにセッティングしておけば、ライブでバンバンいじれて、これまた最高です。
ボコーダーがこれまた優秀でして。レスポンスがいいのと、質感が良くて、結構使ってます。さすがは微妙なところに気配りされてる感じがしました。一般的に言われるボコーダーの欠点(反応の悪さ、SNの悪さ、抜けの悪さなど)を見事に克服しているところには、感動しました。そんな感じでR3は、Sun Pauloでのライブのインプロビゼーション&ジャムのようなシーンにおいて、絶大な効力を発揮してくれてます。欲しい機能は全部ついていて、「こんなのがあったらいいのにな?」とか全くありません。珍しいですよ、ほんとに。「いらない部分はたくさんついていて、いる部分はおざなり。」みたいなものを感じる楽器もたまにあるのですが、僕達コアなシンセ使いの要求に見事に答えてくれていると思います。こんなにちっちゃいのに、凄いやつです!
操作性はいかがですか?
先ほども言いましたが、触りたいパラメータをセットできるという画期的な方法によって、全くストレスなく使えます。確かにそれをセットアップをしておかないといけないというワン・クッションはあるのですが、あの機能を全面のパネルに全部出したら、moogIIIよりでかいシンセになっちゃいますもんね。(笑)まずはパッと触って確かめたいという弾き手や作り手の要求に対して、人間工学的に見事に考えられて作られていると思います。
4月8日のSun Pauloのライブではどのように使用されたのですか?
リード系の音色をいくつかピックアップしエディットしました。それらのフィルターのパラメータやエンベロープのディケイのパラメータを、右側のノブへアサインしリアルタイムでいじれるようにセットアップしました。それはライブで手引きシーケンスさせる時に使い、大活躍してくれました。右手で弾きながら左手でノブを回すという格好です。ループ系の波形を持った音色もいくつかピックアップし、エディットを加えてBPMをトラックに合わせておいて、その場その場で任意に演奏し、フィルターで上げ下げしたりもしましたね。またいくつかのポリ・シンセ的音色を選び、これまたエディットして、そのシンセ音でカッティングをしたりしてました。中にはすでにポリになっているような音色もあり、それを単音弾きしてクラビのようにカッティングしたりもしてましたね。おもしろかったです。またSEやスウィープ音などにも使いました。まるでジョー・ザヴィヌルのARPのリード音のようなリード音を作り、ソロを弾いたりもしたかな。結構、こればっかり弾いてました。おもちゃ触る子供のように。(笑)
R3のライブでの使用感、音の存在感はいかがでしたか?
爆音のギター・サウンドの中でも独特な存在感を出してました。中域に癖がないのと、案外レンジが広いのとで、左右上下の額縁が広いサウンドをしてます。なので、パッドひとつにしても、逆にローカットして中域に寄せてやったり、レゾナンスをコントロールして中域に癖を持たせてやったり、そうすることによって個性豊かなサウンド・メイクができるようになってますね。コルグ得意のオシレータをいくつかユニゾンさせる音色とか、やはりいい抜けをしていました。暖かい音色から電脳的な音まで、音楽的な音から非音楽的な音まで、ほんとに使い勝手がいいです。エディットも簡単で、ストレスなく手が伸びるし。何より持ち運びが楽!これライブで使う条件のひとつでしょう。
R3はこれからも出番が多そうですね?
今後は、僕がやっている数々のサウンド・プロデュースもの、また自己実現できるSun Pauloのトラック・メイク、いろんなレコーディングにおいて活躍させたいと目論んでおります。まずはライブで使ってみていろんなことがわかりましたから、それら自分なりのノウハウみたいなものを、今度はレコーディングで投与していこうかなと。
R3はこれからも森さんのプロジェクトで大活躍の期待大!
そんな中Sun Pauloの次回ライブが決定。ぜひとも足を運んでほしい。
WISDOM
Sun Pauloのニュー・アルバム・リリースを記念したクラブ・パーティ。Sun Paulをはじめとして他のアーティストも多数出演。
2007.06.09(SAT) 代官山UNIT
LIVE:SUN PAULO、CRO-MAGNON
OPEN21:00 / START : 22:00